盛り雪
藤鈴呼



この 幾つもの 冷たい雪の奥に
円みを帯びた いつかの思い出が
きっと 詰まっているのでしょう

切っ先鋭い 刃のような言の葉
告げた方は 体よく忘れて 生るのです
継げられた者のみが 苦しみに 蹲るから
盛り雪

盛り土では 有りません
御存知ですか
もりつち では 無いのですよ
もりど と 読むのです

避けないで 下さいね
過ちは 責めぬと
何度も 申し上げて おりますでしょう
瞳を 上げて くださいな

その上で 真実を 一粒ばかり
わたくしに くださいませんでしょうか

きらきら と またたいて いなくても
良いのですから

陽射しの向こうが 白すぎて
目の前の あなたが 暗く見える

思いが 暗いからでしょうか
こちらがわの 会話が
もしかして 五月蠅すぎますか

そんな風に 耳を塞いで
何から 逃げて いるのです

よもや 受け入れて いるのですか

これ程までに 圧迫された 窓が
苦しいとも ヒモジイとも 発せず
淡々と 此処に 有るのです

担担麺が 運ばれて 来ましたよ
ちょっと ピリ辛風味が 御愛嬌
あなた ムセナイデ くださいね
もう 二度と あんな事
蒸し返しませんから

あなたも わたしも
ただ ただ
ゆっくりと 積もる 雪玉を
見つめて行ければ
それで 良いのです

それで きっと


自由詩 盛り雪 Copyright 藤鈴呼 2014-11-03 17:23:47
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