同じ穴
中山 マキ





器用に生きられないだけの個性は
誰にとっての褒め言葉でもなくて
容赦のない人種には一粒の反撃にもならない

何も聞かなければ、何も傷つかない訳でもなく
耳を塞いで、聞こえなくても
どうせわたしは傷つくのだろうと思う

土足で踏みにじられる気持ちは
自己治癒能力に欠け
化膿し、壊死する

人間は一人で生まれ一人で死ぬ
気付かぬほど短い過程の中で
戸惑い、熱を帯び、期待をする

ただその物事にでさえ
根底を知ればそこに自由はなく
それは自由ではない

溢れてしまったわたしたちが
この世界を複雑化して
カラクリに縛られて行く

多かれ少なかれ僅かな恨みで
昨日の誰かを許していない
負の連鎖に関与して

土足で踏みにじって蹴飛ばして
唾を吐いている
大事なものにさえ






自由詩 同じ穴 Copyright 中山 マキ 2014-10-15 17:59:35
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