涙の花
佐藤承夕



上なんか向かないで
下を向いて歩いていく
涙は零れて地面を濡らす
それを踏みしめて私は歩く
どんなに私がうしろ向きでも
胸の鼓動は未来へ時を刻んでく
声にならない声が私の中で響いて
身体をふるわせて心を揺らしていく
そこから溢れたものを誤魔化さないで
真っ暗な道を涙を越えて踏み出していく
あの日背伸びして買った靴は大きくて
いまでは窮屈になったぼろぼろの靴
不安や恐怖を抜き去ってきたけど
今は追い付かれぬように必死で
乾いた足音と熱混じりの息が
不器用に生きる私のリズム
風で拭った涙はいつしか
闇夜を照らす星になる

ゆうすげよ、夜に咲く星よ
私の涙を糧に道を照らせ
世界が瞼を閉じた夜に
私が迷わないように





自由詩 涙の花 Copyright 佐藤承夕 2014-09-23 04:25:17
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