挿し絵
クローバー

月明かりの下を歩く心細さを
小ささと細さで体現して少女は
そのページを駆けている
周囲を黒く塗りつぶされ
反った指先に可憐さを宿している
この物語を知っている
僕は知っている
この少女を殺すのは
読み進めていく僕なのだから
殺されるのを知っていて
時間を進めるのは僕なのだから
ここで手を止めてはならない
恐怖を宿して少女が逃げる
蒼白の顔が見える
描かれていないけれど見える
僕が殺して終わりにしよう
終わらない悪夢を終わらせよう
ページをめくる
やっぱり死んでる
罪を背負う快楽
犯人は僕です
遅かったすべてが輝く
手を閉じるだけで世界も消える。





自由詩 挿し絵 Copyright クローバー 2014-08-26 20:49:04
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