うた
青色銀河団
その頃
ぼくらといえば
美しい霜のうえを
自転車で完璧な曲線を
描きながら
ふるえる独奏者としての
ふるえるりんごの夕陽のことばを
所有してました
複雑なぼくらのようなわたしたちの
冷たい風の冬でしたので
ぼくらはすれちがう意味のなかで
ようやくめぐりあうままの
貝殻でした
貝殻は死骸ですか
貝殻はすきですか
それは食卓に対して
垂直に交差する瞳をもつ
十四歳の呟く自由のうたでした
負傷する資格すらもたないものの
ともしびうたううた
雨でぬれたとき
濡れた衣服を脱ぐよりも
やせたはだかをさらす淋しさの
うた
難解なノートのような夢の海へ
もぐりこんだままの姿勢でねむる
そういう
こぼれるかたちの
うたでした