満月に吠える、野良犬
服部 剛

夜の浜辺で一人
寂しい叫びを宇宙そらに放り投げる

震える声は
一枚の手紙となって、舞い上がり
静かな波の唸りの上を、舞い上がり
海のの、
月の光の道の上を、舞い上がり
満月の微笑に吸われるように昇りゆく

抱いていたのは
「君」だったのか
「女」だったのか
わからなくなっていった瞬間に僕は
がけの上で
風に吹かれて危うく立ち
満天の星空を仰いで吠える
野良犬を垣間見かいまみ

海の面の
月の光の道の上に浮かぶ
満月の微笑よ

卑小でせた野良犬の僕は
永遠とわにあなたを乞い
闇塗りの深い海に
今夜も吠えている 









自由詩 満月に吠える、野良犬 Copyright 服部 剛 2005-01-25 19:03:00
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