二王子峠
Giton
.
くにざかひ
嶮
(
さ
)
しき小径を伝ひ
菩提樹
(
しなのき
)
の厚き葉叢の陰に
古びてあるか二もとの
碑
(
いしぶみ
)
旅人は振り返り又振り返り歩き過ぎてむ
.
石のおもは雨雪に荒さび
刻まれしふみは時に埋もれて
あらたしき人に告げらくは
ただ二王子ここに弊れきと
.
里遠きこの山の辺に
眠る御子ら名しも知られず
遥か
消
(
け
)
てゆかむ巡礼の鈴
.
嶺
(
ね
)
の彼方雲は涌き立ち
蝉の声絶ゆることなく
木枝は
碑
(
いしぶみ
)
に影を落とせり
.
自由詩
二王子峠
Copyright
Giton
2014-07-30 07:05:10