失恋歌
砦希

あなたが私を
見つけたのは、偶然じゃない
私が暗い闇からあなたを呼びつづけていたから

繁華街の出口から
あなたの待つ家にむかう
次第に濃くなる暗闇と引き換えに
私の即興詩を差し出す

もしももう一度
私を見つけられたなら
優しく手を差しのべてほしい
冷たく痩せたその腕を
そっと

繁華街の出口から
次第に消える夜の灯り
今だけだよと
こんな苦しみは今だけだよと
どうか

この街でひたすらに
すれ違い合う日々
今日あなたのいた場所に
明日私が行くのかもしれない
行かないのかもしれない

あなたが昔
私を見つけたのは
偶然でもないけれど
運命でもない
私の呼ぶ声に
あなたが反応しただけ
あなたのなかのなにかが
反応しただけ

それももう昔のことすぎて
こんなに近くにいても
違う星にいるみたいな
そんな距離をこの先も
愛し続けなくてはならない





自由詩 失恋歌 Copyright 砦希 2014-07-29 22:56:34
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