広尾五丁目の交差点、橋を渡ったら。
吉原 麻

朝7時半に目覚まし時計がなる 君は起きない

8時にも目覚し時計がなる やっと起きる

お湯を沸かしてテレビをつけた君は ふわあ とあくびをしながら

寝たふりをしているわたしに   くちづける

黄色の髪がさらりと頬にかかるとくすぐったくて つい笑ってしまう

お湯はもう沸いているのに ふたりはもう一度ベッドで じゃれる

ごはんとお味噌汁と昨日の残りの何かを食べて いそいではみがきをして

狭いアパートの玄関を出る

出る前には必ず もう一度 ぎゅう をする

玄関を出て3階から1階まで降りたら ふたりは逆の道に進む

黄色の髪と淡い香水のにおいとが 胃のあたりを きゅっ と押す


自由詩 広尾五丁目の交差点、橋を渡ったら。 Copyright 吉原 麻 2005-01-24 19:43:15
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