明暗
瑞海





ずっと暗い中生きてきたからこその
解放された気分はどうですか
光はさぞかし眩しいでしょう
誰かの体温に触れれば離れられない
健やかに息のできるこの世界

でも、でも

初めて温かさと明るさを知るこの瞬間を
あなたは一生憎むことになるでしょう


ずっと明るい中で生きてきたからこその
縛られた気分はどうですか
闇はさぞかし寂しいでしょう
自分がどんどん冷たくなってゆく
息を吐くのも精一杯のこの世界

でも、でも

初めて寂しさと冷たさを知るこの瞬間が
あなたは嫌いではないはず


斬りつけた皮膚の間から
あいが漏れるのをそっとすくってずっと持っていて

あなたなら出来るの
あなたしか出来ないの

わたしが私を殺すまで

光から
闇から
私を此処へ連れて行って





自由詩 明暗 Copyright 瑞海 2014-07-12 06:53:21
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