天使は川辺にて
クローバー

天使は川辺にて体操座り
しょぼくれた顔をして
目には涙を浮かべている
どうしたの?
と聞くと一息に
天国へは階段で行くべきなのに
どうして私は船頭の格好をさせられているの?
六文銭とか言われても意味わからないし
と泣きそうだ
うん、それ僕もわかるよ
隣で僕も体操座り
旅立ちをお手伝いする仕事です
って書いてあったんでしょ?
適任だと思ったんだよね、天使だもんね
と思いついたことを適当に言ってみると
そう、そうなの
なのにさ、変に肉体労働だし
なんかさ、思ってたのと全然違うの
と、怒りながら悲しそうで
なんて器用な表情をするんだろう
と、僕は思わず見とれてしまう
そっちの世界でも変な求人があるんだね
あ、求天使?
本当のことを書くのが本当だよね
と、言ったところで
天使は顔を伏せて肩を震わせ始めた
鼻をすするのが聞こえた

天使は川辺にてその翼を隠して
それでも今日のため働いている
僕は何のために祈ろう
天使ですら途方に暮れているというのに

単純じゃないよね
だいじょうぶ何とかなるよ、うん
何か甘いものでも食べようか
と言うとしばらくして
パフェおごれ
と、こもった声で、この天使は。


自由詩 天使は川辺にて Copyright クローバー 2014-07-09 22:44:46
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