apotheosis
紅月

そら、
は、あおく、
青いと、わたしたちがそう錯覚、
する、けふ、は、
やさしい、暴力に浸され、
事後の、咬傷から、首都圏が溢れ、
ています、」


(ここにはまだだれも認識からはぐれて、


ビルの外壁を
するするとのぼっていく獣たちは
みな死にたがっているんだよ、
と、指さしては
わらうひとびとの午睡、
(てっぺんは、ひらいしん、なんだって、
地下の、葉脈はほつれ、
獣たちは、
延びてくる影の、
閾値から、逃れようと、
そらへ、あがる、







あおく、
そこはまだだれの認識でもなく、
みぎわで交接する性器たちの、
はぐれては、
ひとつところに収斂していく、

凪いでしまえ、けふ、
波紋が、ゆるしあう、性器の、
くるくるとした、旋回に沿って、
みなもに、渦を、巻く、
隠喩、の、疼きから、
そのさなかから、
溢れだした、しろい獣たち、


ここではない、
だれのものでもない認識、が、
あざやかにうねる文脈のなかに、
咲きひろがって、は、



あざやかな、あお、から、
ひきぬかれて、しろく、うなる、そらの、
にんしきはここにはなくだれのものでもない、
ひどくあざやかなさざめきが、
けふ、の、そとがわを、なぞり、


(朱く残響する教室のなかには誰もいない、





kehu aoi ninshiki no bouryoku kara hagurete









言う、
ただ、そう言う、
(水をすくいあげるように、
ひとびとの、陽だまり、の、
あわい、で、
わだかまる、かげ、は、
行間の空白に息をひそめ、

あかるい、都心、と、

やさしい、暴力は、
そらを、あおく、塗りたてる、
(ここからみるそらはどうしようもなくあおいんだ、

けふ、
躰はどこまでもかるく、


さあ、


ゆけ、獣たち、
鮮明な、比喩の、
うちがわで死んでしまうまえに、


ここはだれでもなくここにはないのだから、


だれでもなくここにはないのだから、

 」



 



自由詩 apotheosis Copyright 紅月 2014-06-25 00:04:37
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