apotheosis
紅月
そら、
は、あおく、
青いと、わたしたちがそう錯覚、
する、けふ、は、
やさしい、暴力に浸され、
事後の、咬傷から、首都圏が溢れ、
ています、」
(ここにはまだだれも認識からはぐれて、
ビルの外壁を
するするとのぼっていく獣たちは
みな死にたがっているんだよ、
と、指さしては
わらうひとびとの午睡、
(てっぺんは、ひらいしん、なんだって、
地下の、葉脈はほつれ、
獣たちは、
延びてくる影の、
閾値から、逃れようと、
そらへ、あがる、
*
あおく、
そこはまだだれの認識でもなく、
みぎわで交接する性器たちの、
はぐれては、
ひとつところに収斂していく、
凪いでしまえ、けふ、
波紋が、ゆるしあう、性器の、
くるくるとした、旋回に沿って、
みなもに、渦を、巻く、
隠喩、の、疼きから、
そのさなかから、
溢れだした、しろい獣たち、
ここではない、
だれのものでもない認識、が、
あざやかにうねる文脈のなかに、
咲きひろがって、は、
あざやかな、あお、から、
ひきぬかれて、しろく、うなる、そらの、
にんしきはここにはなくだれのものでもない、
ひどくあざやかなさざめきが、
けふ、の、そとがわを、なぞり、
(朱く残響する教室のなかには誰もいない、
kehu aoi ninshiki no bouryoku kara hagurete
*
言う、
ただ、そう言う、
(水をすくいあげるように、
ひとびとの、陽だまり、の、
あわい、で、
わだかまる、かげ、は、
行間の空白に息をひそめ、
あかるい、都心、と、
やさしい、暴力は、
そらを、あおく、塗りたてる、
(ここからみるそらはどうしようもなくあおいんだ、
けふ、
躰はどこまでもかるく、
さあ、
ゆけ、獣たち、
鮮明な、比喩の、
うちがわで死んでしまうまえに、
ここはだれでもなくここにはないのだから、
だれでもなくここにはないのだから、
」
自由詩
apotheosis
Copyright
紅月
2014-06-25 00:04:37