やさしいうた
クローバー

灰色を塗りたくっている雲
散々泣いても
飲み込んでいくのだから
カッコつけた言葉を書いているのは
悟られたくない内側を
どうやって抱えていればいいのか
途方に暮れているから
貴方は大丈夫、貴方は問題ない
ノープロブレムだ、エラーは世界のほうだ
と、言い聞かせてみても
内側は泣いて故郷の土を黒く染める
ベタなことを言えば
やまない雨はないのだけれど
病まない雨はないと内側は言ってしまう
たすけてください、と、言うよ
言っても大丈夫、と信じさせてください
何がいけないのかわからない
言われたことを行い、こなしてきたのに
まっすぐ歩いて必要なものを欲しがってきた
それに合うものを選んできた
それがどうして反転してしまうのか
沈んでいく水の底に寝転んでいる僕の死体
聞きたくないよ、と自分で思う
比喩を使えよ、と自分で思う
生きるために飲まなくてはいけない水は
飲みすぎれば毒になるけれど
飲めないよりはマシだと周囲は言って
僕は沈んでしまう空気のない世界へ
竜宮城には乙姫様がいるというけれど
死にたくないな、と思っているんだと思う
何をしても楽しくない

そんな奴でも生きていりゃ、それだけで、素晴らしい
生命ってものはそんなものだから
と声に出している
歌っている
誰だろう
誰だろう。


自由詩 やさしいうた Copyright クローバー 2014-06-22 20:02:00
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