ゴング
アンドリュウ

世界は
11ラウンドのボクサーのように
全てに倦んでいた
のろのろとステップを踏み
惰性の拳を振り回す
自らのまき散らす
臭い吐息とぬるぬるとした汗にまみれ
朦朧とした意識の中で
相手を見失い
ゴングに救いを求めていた
このままでは勝てない事を
誰もがとうの昔に思い知らされていた
ここをどうにかしのいでも
劇的な何かの兆しは
どこにも欠片もなかった

そもそも相手などいなかったのだ

この裸猿の群れもまた
恐竜のように
消え去る事でしか
足跡を残せない
ルーペを覗きながら
そいつは呟く
自らの毒で
滅びたんだと

ゴングが鳴れば
最終ラウンドが始まる
自分自身を相手に
決着をつける時が来る
だらしのない
品のない
無様な闘いは終わる




自由詩 ゴング Copyright アンドリュウ 2014-05-20 19:36:29
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