最強
竜門勇気

秋の暮れに拾った
みにくい木の実を埋める
春まで生きる理由がいるので

秋に木の実を掘り返す
腐った土が湧くばかり

まるで知りあいみたいに
まるで知りあいみたいに
誰かが知りあいみたいに
僕の肩に触れささやいて消える

枯れる木の実を植えるから
朽ちた木の実が湧くんだ
いつか死ぬものから生まれた君が
いつか死ぬように

離せ さわんな 死神は消える


春のはじめに話した
黄色い人と出会った
隣の友人と
代わりばんこに気を失いながら

感情はピストンの火花の如し
窮屈でかたっくるしくて
かったるくて目が回る

まるで知り合いみたいに
まるで知りあいみたいに
確か 知り合いだったなこいつ
意味のない言葉だけよく覚えてる

枯れる花の種をまくから
花は枯れるんだ
しぼむ夢を見てたから
目を醒ませたんだ違うか?

まるで死神みたいに
まるで死神みたいに
確か 死神だったなこいつ

春や秋はあっち側でもこっち側でもないから
多分 死神だったんだなあいつ

そんな時期に何かを思っちゃダメだった
お互いに一歩を踏み出して
お互いに境界線を超えて
ただ怒りをぶつけあうだけだった

多分知り合いだったんだろうな
多分死神は知りあいなんだろうな


自由詩 最強 Copyright 竜門勇気 2014-05-15 12:24:18
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