男の小さな見栄
ヒヤシンス


愛の迸る行為の後、裸のお前に女を見る時、
俺はいつも大きな母性を感じる。
自分が男でいる事の頼り無さを感じる。
これは悪しき習慣だ。

ベッドの中で体を摺り寄せる女のお前に
俺は対等なものを探し出そうとする。
どうもうまくゆかない。
そこには白くて小さな背中があるばかりだ。

愛の無い行為の後、男の俺は女に母性を感じない。
求めはしないがそこに母の匂いは無い。
そんな俺はほんの少しの優越感に浸りながら煙草なんかを吸えるのだ。

しかしお前は違う。思考は器の大きさにまで飛躍する。
ぼんやりとした明かりの下、俺はお前の綺麗な背中に一粒の黒子を見つけた。
その刹那俺は安堵した。その黒子によってはじめて俺はお前と対等になれたのだ。


自由詩 男の小さな見栄 Copyright ヒヤシンス 2014-04-13 03:41:36
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