冬と隔たり
木立 悟





倒木と流木が
花に持ち上げられ
何処かへと運び去られてゆく
音の泡が
幾つか土に残される


午後の弔い
水に沈む花
土の上の金
踏みしめる 踏みしめる音


空にあいた穴に
曇は揉み込まれてゆく
三つの太陽が騒がしく
ぐるぐると地を照らし消えてゆく


夜を映した器があふれ
聞こえないうたを放ち出す
地に繋がれたものの息
角を曲がり 陰を濡らす


鳥のような夜の声
水の径を歩きゆく
水が亀裂に呑まれた後も
足跡は淡くかがやいている


かさかさと垂れ下がる羽のあつまり
流れ星を追いかける子の乱れ髪
夜の通りに満ちる蜂蜜
笑顔と拍手に消える星々



   願いはひとつでした
   でも ふたつだったのかもしれません
   ずっと離れてうたったのです
   ずっとそのままに居たのです



暗がりは常に何かに満ちて
ひたすら分かれながら分かれずに
自動と他動の震えの重なり
こがねのはばたきをはばたきつづける













































自由詩 冬と隔たり Copyright 木立 悟 2014-03-24 02:15:31
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