多摩川とねこと雪
2012

音のない窓辺で
ねこは多摩川の景色を見ている
遊びたいなと思って
幾人かの子供達を見ている

外に雪が降り積っても
ねこは多摩川の景色を見ている

外に出たいなと思って

同じ時刻
同じ方角を

ずっと見ている

何年かに一度の大雪の日に
ねこは外に出た

冷いけどふかふかする真っ白な雪に足跡をつけて

道路を渡る時は
道行く人が見守ってくれる

道路を渡る時はあぶない
はじめてみる何かが走り狂っている

でも

ねこは家にもどらなかった
自分自身の
家が欲しかったから




自由詩 多摩川とねこと雪 Copyright 2012 2014-02-25 22:30:44
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