◆ラヴ・レター
千波 一也


さよならを受け取る代わりに
ひとつだけわたしにください
あなたの命を



一通りあなたがくれた言葉たち
ほんとの意味は
辞書には載らない



いつまでの約束でしたか
三日月に看取られていた
あの口づけは



星たちの声が聞こえていたならば
逃げ場はなくなる
どんな夜にも



案の定
あなたはわたしを諦めた
諦められないわたしを置いて



一滴の愛も含まぬ憎しみは
ありえないから
遠慮はしない



土曜日の夜にながれる溜め息は
あなたの知らない
あなたのわたし



裏切り、と
嘆きわめいて狂えたら
しあわせだったかもしれなくて



白雪はどの火のために降るのだろう
あんなにきれいに
水をはらんで



ありがとう
生かしてくれてありがとう
わたしは死なない
あなたなしでも









短歌 ◆ラヴ・レター Copyright 千波 一也 2014-02-13 20:22:54
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