(頭を置き去りにして歩く、)
tomoaki.t




           頭を置き去りにして歩く、白い煙を道標として吐きながら
    灯りは思い思いに燈り、星のように曖昧な輪郭
      地面には産毛が生えている。泡立って固まった鍾乳石の土地
         光のないことを誇っている。音のないことを望んでいる
     光がないから夜なのだ。白い手の軌跡が美しい
空には無数の目がある。動物だろうと植物だろうと人だろうと
            吐息が宝石だろうと鬼灯だろうと、頭が失われていようと
     息が冷たく頬をさらう、熱はどこにも行かず、滴り落ちるだけ
       まれに鈍器のような音がするのは、おそらく雪の塊が落ちたのだ
          じっと聴き入る、また、夜空から見つめられる
  ふたたび足あとを追うようにして歩き出す。まるで足あとをなぞることが
           目的であるかのように、でもまた降り出せば、足あとは消える
   そのときは、まるで足あとをつくるために歩く
             雪の中に頭を置き去りにして
 
 
 
 


自由詩 (頭を置き去りにして歩く、) Copyright tomoaki.t 2014-01-30 21:34:00
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