栄養を与えて
粉末

ドリンクをいくら飲んでもまるで足りない何か
何も足らないというのは変な言葉 
それでも毎朝飲んだ
無きにしも有らずと言い聞かせる
革靴で日々歩いているせいか土踏まずがなくなり
靴底だけ磨り減って土踏まずに付いた筋肉
バランスは悪く目をつぶると左へ逸れる

昔のことをやたら夢に見る
ほとんど後悔しているシーン
後悔していない思い出はないのか
ああすれば もっとああすれば やり直せれば
きっとうまくやってやるのにと想定して
やり直せはしないしやり直す元気はないんだ
そんな後悔をお前に話した時
お前 少しも後悔はしていないと言うのか
同じ体験を分かち合った たぶん
思い出が全部同じじゃないけれど
あの時なぜか声が喉に詰まって情けなく泣き出してしまった奴ら
お前はどう覚えてるんだ
少しも後悔してないと言うなら
飲めない酒を何杯も飲んで
寂しい寂しいと喚き散らして
しわ寄せでお前を遠ざけて
素直になることはおろかポーズすら取れずにいる
足りないものは栄養じゃない
勇気をかき集めるのは今しかない


自由詩 栄養を与えて Copyright 粉末 2013-10-28 02:57:08
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