誰かの恋愛
番田 


誰もいない日に
川の流れとしぶきの境目を見ている
そうすることを
ひとり 見て 死んでいたことを
いつまでも ただ 口にせず
何もしないまま生きて行く 


ただ 流れていく 何も語らず
だけど乗り過ごしたのだ ブックオフで
本を買う予定だった電車にいる 僕は 
エロ本が少ないと気づかされた
5年前の 入ってはいないはずだった
しおりは 白いコンサートの案内文


時代のように 劣化はしない
作品は その内容として 残る
だけど 広告で微笑むアイドルは
君の好きだった あの懐かしい笑顔だ
もう 人も名前も忘れられ 誰であるかも知らない
街で出会ってもすれ違うだけ


通りを歩く 五反田で
人の夢を追いかけている 道の下に 目黒川
涙の一粒を落とし 夢の中へ だけど
目の前にある記憶を見つめて 僕は 努力しようと
あの頃に戻っては また やり直しても
知らない間に街から消されていくのだ


自由詩 誰かの恋愛 Copyright 番田  2013-10-24 00:11:56
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