まちがう
伊織

恐らくあとすこしで
不器用なりにかたはつく
着地点さえ定めれば

引かれあうには理由があり
途中までは見えている
交わるのかどうかは
舵の切り方


 それはたぶん 既視感、共感、同情
 多少の興味本位
 とてもシンプルで簡単なできごと

だけど



忘れたのか、と
何度も何度も霧雨に打たれていた
忘れたのか、と
わたしも
あなたも
憶えているのは
緩い水の感触か
冷徹な空気の温度か



たったひとつの毛布になろうという幻想
あるいはふたりで夜空を見たい
考えていないんだ
考えられないんだ
今更
ほかの解決方法など


自由詩 まちがう Copyright 伊織 2013-10-18 22:41:11
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