黄昏
まんぼう2

8月の蒸し暑い夕暮れ
稲光の後で沛雨は
ひとしきり降り
気温は一気に下がった

琺瑯引きの洗面器が並ぶ廊下に
クレゾール液が匂い
雨が匂い
旅人は
青色のベンチに
座り込み
砂漠で石を食べ続けるダチョウを
思っていた
悲しみで
凍りついた石の上に
蝸牛は永劫の螺旋を描き続ける

誰そ彼時には
湖沼を渡る風が芦の匂いを運ぶ
宵の明星が菫色の空に輝きだし
わたしに訪れるものたちは
茜色の通路を通り抜ける


自由詩 黄昏 Copyright まんぼう2 2013-10-07 08:50:12
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