せかい
佐藤伊織

踏みとどまるこの地平は
無数の赤い
領域

真っ赤な
真っ赤な領域

この線から一歩踏み越えて
あの領域と領域を結ぶ境界領域で

「もうわかってしまった」
というボク
ただ
頭部をくわえて
 踏みとどまる
犬よ
 それは
本当のぼくだったのか。
 幸せに死ぬ
ぼくも 孤独に死ぬ
ぼくも
永遠の

変換につづく変換のなか

この線の深い谷の間から腕がのび足が生え
あの領域と領域を結ぶ境界領域を踏み越え

「もうわかってしまった」「もうわかってしまった」「もう」
ぼくはすでに
あの

まっすぐに見つめているぼくのなかの
反転する領域の中のぼくのなかの
ぼくの
せかい

新しい血の海




自由詩 せかい Copyright 佐藤伊織 2013-10-01 23:50:12
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