湖のほとり
栗山透
湖のほとりに立つ
秋にしては風が冷たい
氷の手が首に絡みつく
湖の水は風を受けて
ゆらゆらと揺れている
ここは寒い季節にだけ
訪れる特別な場所
森も風を受けて
ゆらゆらと揺れている
葉っぱのこすれる音
僕も風を受けて
ゆらゆらと揺れている
湖では
形のぼやけた月が
たったひとりの僕を
不思議な顔をして
見つめている
僕は風を受けて
ゆらゆらと揺れている
葉っぱのこすれる音
自由詩
湖のほとり
Copyright
栗山透
2013-09-06 12:25:49