どんてんのすゝめ
自転車に乗れない女の子
「なあ、お前は知ってるか?
人間は自らの当たり前を正義と仮定し、それを侵すものを悪と定めていることを。
俺は知らなかったんだ。だっておかしいじゃないか。
当たり前を真っ向から否定する『流行』ってやつが、まるで正義のように崇められているんだぜ。
過去の流行を潰して流行になったそれが、また新しい流行に潰される。
否定されては生まれ、生まれては否定され。
何年も前に否定された流行が、明日の流行になるかもしれない。
そんな『流行』を正義と決めつけて、人間は追いかけているんだ。おかしいだろ。
だけどそうさ! 世界はそうやって廻っていくのさ!
こんなに曇天の今日だって!
それなのにお前はどうして、同じものを守るために戦っているんだ?
明日守るべきはその敵になるかもしれないのに!
なぁライダー。お前は、どう思うよ!?」
「しんちゃーん! テレビの前でぶつぶつ言ってないで、早く幼稚園行く準備なさーい!」
「はあい。ママ。
……ああ、そうさ。俺はまだ子供さ!
それでも辟易して黙りこんだ大人より幾分もマシだろう。
ライダー、お前は自分の信念で暴力を俺達に見せつけているのか?
なあ、どうなんだよ!?」
「しんちゃん、幼稚園バス来たわよ! 早くなさい!」
「はあい、ママ」