どんてんのすゝめ
自転車に乗れない女の子

 



「なあ、お前は知ってるか?
 人間は自らの当たり前を正義と仮定し、それを侵すものを悪と定めていることを。
 俺は知らなかったんだ。だっておかしいじゃないか。
 当たり前を真っ向から否定する『流行』ってやつが、まるで正義のように崇められているんだぜ。

 過去の流行を潰して流行になったそれが、また新しい流行に潰される。
 否定されては生まれ、生まれては否定され。

 何年も前に否定された流行が、明日の流行になるかもしれない。
 そんな『流行』を正義と決めつけて、人間は追いかけているんだ。おかしいだろ。

 だけどそうさ! 世界はそうやって廻っていくのさ!
 こんなに曇天の今日だって!
 それなのにお前はどうして、同じものを守るために戦っているんだ?
 明日守るべきはその敵になるかもしれないのに!


 なぁライダー。お前は、どう思うよ!?」









「しんちゃーん! テレビの前でぶつぶつ言ってないで、早く幼稚園行く準備なさーい!」






「はあい。ママ。






 ……ああ、そうさ。俺はまだ子供さ!
 それでも辟易して黙りこんだ大人より幾分もマシだろう。
 ライダー、お前は自分の信念で暴力を俺達に見せつけているのか?

 なあ、どうなんだよ!?」








「しんちゃん、幼稚園バス来たわよ! 早くなさい!」













「はあい、ママ」



 


散文(批評随筆小説等) どんてんのすゝめ Copyright 自転車に乗れない女の子 2013-08-30 00:21:47
notebook Home