盛夏
伊織

ひぐらしが
違うひぐらしになってしまう日を
待ち焦がれている


太陽の持つ熱とは別の種類の熱が
わたしを包み
わたしに留まる
何もかも解っている
あとは応えるだけ


この身体の奥で眠る熱を開放して
直接ぶつけたいのです
熱と熱があわさって融けていくのを
静かに嚥下して
ふたり
の意味を知る


ひぐらしが
アブラゼミになった日には
手を繋いで
夕暮れ空を見つめる


自由詩 盛夏 Copyright 伊織 2013-08-16 19:59:06
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