そいつのビタミン
カマキリ

妄想から引っ張り出した庭に椅子を並べて
母屋でくすねたたばこを吸う

大事な人が減っていく未来に
振り上げた拳が帰ってこないように煙で包む
アルバムをめくるのは
悲しみに見つけた一本の線を
途切れないよう手繰り寄せて
光と勘違いしてつられた過去のものたちに
怒るでもなくただ手を添える魔法の行為

白い皿にカランカランとタブレット
ごちそうの夢を見ていた軟弱者に
強く椅子を勧めて
風のない夜を乗り切るのだ






自由詩 そいつのビタミン Copyright カマキリ 2013-07-30 20:58:47
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