AM3:17
すみきたすみれ


ひとしきり思い出にふけった
夜の次に訪れた
朝の光は色が欠けていた

切り取った窓に、蜘蛛が浮かんでいる
細い影が
睫毛より間近に、光を遮っていた

本棚の上には郭公が
羽を休めて、のどを膨らませて
赤い舌が
寝息に潜り込む、霞んだ球体を回す

冷たい爪で
積もった
埃を
掻き出している

襖を挟んで足音が
廊下で
響く
呼んでいる、

時計がうるさい

招いている
覗く、食み出した視線

孵ったばかりの
文字が好きな蜥蜴
粘々したまま
床に落ちて潰れる

まだやわらかかったからね

耳元で器用な
醜い指が
指折り数える

蜘蛛が揺れ
糸が切れ
フクロウが呑み込んだ蜥蜴の躯を吐き出す

襖が開いて


自由詩 AM3:17 Copyright すみきたすみれ 2013-07-29 02:32:07
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