悲しくてあさましい心
和田カマリ

あの東北の地震の時
僕はテレビを見ていた
みるみる海岸線が無くなって
黒い塊が街を飲み込んで行くのを
僕はテレビで見ていた

たくさんの人が酸欠の魚みたいに
ぎっしりと港に浮いているのを
僕はネットで見た
服を着た死骸や裸の死骸を
僕はネットで見ていた

原発がぶっ壊れて
みんなが右往左往していた
入り江に火の手が上がっていた
子供が泣いていた
親が泣いていた

その時の僕の虚無が
なんとも堪らないのだ
悲しくてあさましい心
白い道化師が笑う
悲しくてあさましい心

石巻に親戚がいました
仙台に友達がいました
他人事

石を投げつけて欲しい
僕は馬鹿な僕に




自由詩 悲しくてあさましい心 Copyright 和田カマリ 2013-07-08 18:04:37
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