なつが来た。
凍湖(とおこ)

なつが来た。
皮膚が湿気を吸って、すーはーすーはー、酸欠の金魚並みに汗をかく。
自転車をこぐ。

なつが来たんだ。
虫除けスプレーの薄荷の匂いが、さわやかで
冬の渇わいて縮んだ、ゴム皮膚のことはもう忘れた。

こころはもう、そびえる入道雲と、焼けた砂浜。
飽き飽きした素麺の氷に飛んでいる。


自由詩 なつが来た。 Copyright 凍湖(とおこ) 2013-07-03 00:50:16
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