美ヶ原
ヒヤシンス


天空の園にある高原で草を食む馬が一頭。
美しい黒褐色の毛並。謙虚な肢体、その気品と言ったら!
お前は人間に飼い慣らされるものではない。
そのたてがみに隠している翼で思い切り自由に飛んで行け。

青い空に向かって伸びている、一本の道。
偉大な文人をも唸らせた、その素朴極まりない一本道。しかしそれは天に伸びる道。
お前はどこまでも伸びてゆけ。
たとえそれが神の領域にまで達せようとも。

人間は時に振り返ることがある。立ち止まることがある。
しかしここでは誰もがそれをしない。
そんな必要はない。進むべき道は一本しかないのだから。

人間は時に深く沈考する時がある。悩み苦しむことがある。
しかしここではそんな心配はいらない。ここには嘘が無く、皆の心は優しくて穏やかだ。
あらゆるものの心魂が美しく浄化され、永遠の女神が微笑む場所だから。


自由詩 美ヶ原 Copyright ヒヤシンス 2013-05-27 04:02:31
notebook Home 戻る  過去 未来