現代詩撲滅キャンペーン
左屋百色
夏みかん30個食べて春を忘れた頃
その空き箱に自分らしい言葉を
ぎゅうぎゅうに詰め込んで
駅へ向かう詩人F
駅前広場では現代詩撲滅キャンペーン
言葉を捨てに来た人には
オリジナルボールペンかハンドタオルが
プレゼントされる
詩人Fは箱を受け付けに渡し
ボールペンをもらい
周りの様子を注意深く観察してから
近くにいた警備員Nとすこし会話した
F(現代詩、なくなるといいですね
N(そうだね、よくわかんないしね
詩人Fは帰り道でキャンペーンに関わる
全ての人間を叩きのめすと心に決めた
現代詩をなくすわけにはいかないのだ
翌朝いつもより早く起きストレッチをし
気合いを入れ駅へ向かう詩人F
なるほど駅までの道がいつもと違う
素晴らしい景色ではないか
やはり現代詩は必要なのだ
あいつら全員許すわけにはいかない
そして15分後
ついに詩人Fは駅に到着した
しかし駅前広場には誰もいなかった
現代詩撲滅キャンペーンは
きのうで終わっていた