ワタクシはマーメイド
藤鈴呼

進む道を 阻むのは 看板では無く
目の前に 見えぬ 釘なのかも 知れない

描かれた 矢印も 信じられないで 立ち竦む瞳に
ぴょこん と 他人を喰ったやふな 真鍮の兎が 映る

銀では無いから 錆びると 鳴かないで
鳥では無いから 飛べぬと 哭かないで

長い 耳のような 突起物を
ゴム跳びの要領で 超えられたなら 良かった

競う相手も 存在も 頭の中から 消し去って
華麗に ジャンプする 妄想しか 出来ない

ワタクシは マーメイドなんだと 言いながら
壊れた魚の角度で 何度もターンを 繰り返す

真下を見るのが 怖いから
横泳ぎの要領で 壁を蹴るんです

左手を使い 真っ暗闇でも 飛び出せる様に
此処が トンネルなのだと 見知らぬ ままで

★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°


自由詩 ワタクシはマーメイド Copyright 藤鈴呼 2013-04-18 09:21:28
notebook Home 戻る  過去 未来