豚は罠にかかり、死を待つ
俺の中の変態

豚は罠にかかり、死を待つ

喚き、同情の思念を発す

叶わぬと嘆き、怒りをもって頭蓋骨を割る

残忍性嗜虐性を隠さず、乞いを認めず、加減せず、遠慮無く

一片の同情すら浮かべず、鉄製の棒を振り下ろし、引き攣った顔を楽しむ

掻き出されたは脳漿は地面に擦りつけられ

灰色とピンク色の物体は人の味を知った特別な豚の餌に混ぜられる

退屈した酪農家は面白半分で鋤を持つと家畜めがけて突き刺しはじめた

意外に硬い身体、擦り傷ばかり増える

身が赤く、皮膚がめくれ、血が噴き出す

悲痛なサクソフォン

血塗れの胴体に飽くと顔を狙い、次いで目玉をくり抜きにかかる

鋤には歪に分断された眼球が粘膜と血液で濡れて光る

獣は泣き、その場から逃れようとする

柵のそばには朽ちた藁葺きの家屋

壁には乾いた糞尿で彩られた模様が

目と鼻に刺激臭

怯えながら拒否反応を起こした身体の内側が捻じれ

胃の中の物をすべて嘔吐したあとでも、吐き気はなくならない

白い胃液はやがて虹色の体液へ変わり

勃起した性器の先端からは粘り気のある白濁した液が雫となって地に落ちていく

兄弟は土に混ざった液体を舐め

青臭く塩辛い感触を長い時間をかけて味わう


自由詩 豚は罠にかかり、死を待つ Copyright 俺の中の変態 2013-04-16 18:53:21
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