きのこかかのこ
藤鈴呼


貴方は 誰ですか

きのこですか
かのこですか

傘の お化けが 返事する
からん からん

氷なのか 鼻緒の途切れた
ミイちゃんの 下駄なのか

もっと 可愛らしい 言い方が
有った筈なんダ! って
ゲタゲタ笑いながらも 
思い出せない

思い出せないことは
無理に 引きずり出す必要は 無いのです、と
誰かが 呟く

呟いた瞳を 見定める直前
一つしか 無いことに 気付く

かんからか〜ん と 響く
小気味良い 音は

アレだ
カラスだ
ヘリコプターだ

いや 傘だ

閉じかけた傘は
まるで きのこみたいな様相

僕は 安全です
毒ひとつ 持ってないのです と

三角の頭を テラテラさせて
そっと 近づく

手を伸ばした瞬間に
絡め取られるのだから
危険 危険

流れ始めた汗が 幾つも重なって
夢の紫陽花型を 形成すれば

土砂降りの地に 雨が固まり
もう どうしようもない 心

かのこですか
あなた
きのこですよ

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自由詩 きのこかかのこ Copyright 藤鈴呼 2013-04-05 02:15:30
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