精子の旅 
服部 剛

精子の姿は、魂に似て 
お玉杓子は、音符に似て 
もし、魂が音符なら 
メロディは 
五線譜を泳ぐでしょう 

無数の精子と精子の競争を 
勝ち抜いた選ばれし精子よ 
 
君は辿り着いた宮へ入り 
結合した卵に 
あの息吹は巡り 
母親のふくらんだおなかに包まり
夢を見る 
人の幼虫として 
何処からか聴こえる合唱に
耳を造詣するでしょう 

いつか――棺から起き上がり 
炎に踊る老人の黒い影も溶け去り 
透明な精子のフォルムは、風を泳いで 
吸いこまれゆく 

空の向こうの宇宙の宮へ 








自由詩 精子の旅  Copyright 服部 剛 2013-04-01 22:30:02
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