もやしくん
藤鈴呼


地下系で 繋がっている 
細っこい もやしみたいな 白い根が
河童の皿を 連れて来る

若しくは 小さな 蕗
フッ と 吹きかけたら 飛びそうな
華奢な姿を 思い描くから 立ち止まる

佇んで
油断する

その 切っ先を 掠めるのは 刃
刃の先に 刃が 残されていて
幾つも 幾つも 傷を 作る

箱の中に 箱が 隠されていたら
その先の 小さな箱を 連想するでしょう?

一番奥の商品は 当然 小さ過ぎて
何だか 味気無いのだれど
無い よりは 上等

幾つも 幾つも 連なるのは 凶器
少しずつ 羽交い絞めにして
青々とした気分を
台無しにする

これでもか と 真綿で首を しめた後
「今日の昼食に どうぞ」 なんて
澄ました顔で しめ鯖なんて 出しながら
傍らに すまし汁を そっと置いて
ニヤリ

この 笑い方が いただけない
いただけない癖に 
食べる前には いただきますでしょう? 
なんて 揶揄されるから げんなりするんだ

君は 何て 名前なんですか?
え? 血止め草?

そんなら 血管から 断ち切っても 良いですか
欠陥商品だなんて 揶揄しないで下さいよ

血を止めん! と
地を這って

這い蹲って 膝ついて
泥だらけの上に スプリンクラーの おまけツキ

何でもオマケは 嬉しいモンです
ですから もう少しだけ あたっていましょう

当たらぬコトだけ 祈り続けながら

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自由詩 もやしくん Copyright 藤鈴呼 2013-03-30 13:32:01
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