花曇り
方舟

春が来て
花曇り
二時限目のチャイムと
遅れているバスと
並行世界
私は
私の前を歩く私の
腕を
掴む

春が来て
花曇りが
市営バスに乗る
無賃乗車の
鳥たちは逃げていく
真空世界
私はふくらむ
私は縮む

また春が来て
また花が咲いても
そこに歴史はない
そこに歴史などなくても
鳥たちは哀しまない

春が来て
花曇りの空
バスはバスに乗って
スニーカーはひとりで歩いて
スポーツバッグは飛んで跳ねて
世界内世界
春が来て
春が来て
春が来たら
花曇り


自由詩 花曇り Copyright 方舟 2013-03-19 22:33:55
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