おどりばの女
マシュー=ハヤサカ

(よ空)

エレベーターを
あきらめたから
最上階から はやあしで
かけおりるあいだに

 なつ、
 金のすなあらし
 とじこめられた
 はいいろの
 くものあいだを
 いそぐ、
 いそぐのはジャンボ
 行きか
 もどりかを
 たしかめなおして
 きがつくと
 にぎっていたのは
 ぽっけのそこの
 銅貨 二まい三まい
 貝のからのうらがわを
 てらてらさせるのは
 ほそくなった陽のひかり 

おもいだすあいだに
なんびゃくだん
消化したのか、な、と

そして
三階のおどりばに
おんながいた
でんわをにぎったおんな
向いてこっちをみた
いやな色のかみ、
ながいかみまでもを
あはれ、
質にあずけているんだろう

金のすなあらしは
ありえない きせつにやってきた
おもわず目をほそめる、
オフィスビルの化身、

だから
れいの陽のひかりは
もっと微弱になった

といっても
貝のくらしが
まずしくなっただけのこと、

それだけのちがいが 次のなつを もうすこし さびしいものにするのか.


自由詩 おどりばの女 Copyright マシュー=ハヤサカ 2013-02-19 19:19:51
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