受け入れても受け入れても現実は深く牙で僕の
竜門勇気


好きな子が出来ても
誰かの手を引いて遠い場所へ
行ってしまう

受け入れた そして絶望はしたが
したが それぐらいで済んだ


友達に嫌われた
仲直りしたかったけど
もうそんなことに使うプライドすらなかった

栄光を探すんだ
かつてあった気がする
あったかい日があったような気がする
気がする頼みか
自分の気分の寝込みを襲え
喋り屋が僕の心臓の脇にスイッチを取り付ける


金がなかった
人に渡すために稼がなきゃならなかった
わざわざ稼いで
右から左だ

覚えはあったけど
こんなことになるなんて
なんて言うほど
大した額でもねー
生きるには充分で
息してるぶんには
不自由がない暮らし

腐った金でも金は金
腐った金でも笑顔は買えた
腐った金に時間を変えて暮らす
腐った時間よりはマシだな
腐った時間が育てた化物は
腐った皮膚に牙をたてる
腐った神経がちぎれて
腐った叫び声が音楽に聞こえる
自分の悲鳴が音楽みたいだった
一昔前僕の泣き叫ぶ声は
僕の音楽でした

さみしい気分が
少しずつ吹かなくなった
時々 他人の背中を見てる時に
やけに自分と違うなって
思った時 わかった時
耳元で吹く
まるで年寄りさ あえて そんな気分も

受け入れた それで楽になる
一つ分だけ
目を覚ましてまた心臓の横に牙が刺さる
喋り屋のスイッチが押し込まれて
僕は音楽を聞く
今にも壊れそうで壊れない
頑丈なスイッチが押し込まれて
僕は音楽を聞く
僕は音楽を聞く




自由詩 受け入れても受け入れても現実は深く牙で僕の Copyright 竜門勇気 2013-02-14 09:44:09
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