解ってるの、何でも


貴方も私を責めるのでしょう
目が物語っているわ

でも貴方に何が解るの
その死んだ魚の目で何が見えるの
サングラスなんて外しなさい
私の努力が見えないのでしょう


貴方も私を罵倒するのでしょう
声帯の揺れ方で解るわ

でも貴方に何が解るの
その破れかかった鼓膜で何が聞けるの
手術してもらいなさい
私の気遣いが聞こえないのでしょう


貴方も私を突き放すのでしょう
冷めた態度で丸解りよ

でも貴方に何が解るの
その完全防備の甲冑で何を感じられるの
討ち死にでもしてくればいいわ
私の思いやりを感じられないのでしょう



　トラジェディの中の姫は
　本日もひとり
　脳内で戦争を起こすのです

　脳内で済めば、世は泰平を保てるでしょうに


　姫はどんどん
　トラジェディの階段を下り
　地中深くまで来てしまいました


「光など無いじゃない！皆が騙したのよ！」


　いつまでもいつまでも
　姫はご自分が何処に居るのか
　何処へ向かうべきなのか
　お解りにならない為

　自由な脳内でまた、戦争を次々に起こすのです


　手を伸ばしたって
　姫の姿さえ見えないこの深い城


　はてさて、
　どなたが姫の心臓めがけて
　弾（ことば）を撃ち込めるのでしょうか