アダムランザ
六九郎

20になって母親と二人暮らし
父親は俺らを見捨てて家を出て
社会から隔絶し
netに埋没し
なんの充足感も得られず
疎外感にさいなまれる
あいつらの笑い声
馬鹿共の笑い顔

俺みたいなクズは山ほどいるだろ?
何の役にも立たないようなクズ野郎は
何の希望も見つからず
ただ悶々としてその日をやり過ごす
逆恨みを膨らませ
自分は被害者だけど何の被害者だか思い出せない
そんな俺みたいな繊細なクズ
弱々しいクズはどこにでもいるだろ?

もう充分だ
もうそろそろ充分だ
俺も今まで我慢してきたよ
だけど潮時だ
パチンと弾けて終わりにしよう
頭を撃ち抜け
母親の銃で
母親の頭を
見ず知らずの子供の頭を
俺の頭を
頭を撃ち抜け

銃の規制?
ゲームをやめろ?
訳知り顔の物知り顔のおっさん達
問題はそんなことじゃない
問題は、俺の抱えたこの疎外感と、
それを伝えることのできない俺の表現力と、
聞く耳を持たない馬鹿共と

まあいいや
銃を置いてバイクを買おう
バイクを買って走りに行こう
母親も、馬鹿な奴等も
誰もいないどこか遠くへ
バイクと一緒に苦労を買って
小金を貯めて


自由詩 アダムランザ Copyright 六九郎 2012-12-29 23:23:07
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