リストの指
服部 剛
名曲喫茶の壁に掛けられた
額縁の中で
貴公子のようにすっと立ち
時を越え、こちらをみつめる
リストの目
(こちらに来なさい・・・
世を去った私達の賛歌に耳を澄ましてから
そちらに戻りなさい・・・
そうしてあなたは
唯一無二の歌を奏でる者になるだろう )
胸に手をあて、跪き
リストの声を聴いていた
僕の落とした目線の先に
曇り硝子から射す日に照らされた
リストの指は、生々しく
今にも動き出しそうだ
自由詩
リストの指
Copyright
服部 剛
2012-12-15 18:30:52
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