静脈
草野春心



  頭の中に
  一匹の犬が眠っている
  擦れてしまって読みとれない
  古い名札のついた小屋で



  静脈のほそい暗がりを
  血液がそっと滑ってゆく
  夜、
  この世界にある
  幾つもの扉
  そのうちのひとつだけを開けて





自由詩 静脈 Copyright 草野春心 2012-11-24 10:38:28
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