裏原の中で買った財布
番田 


何も知らない日々が
ぼんやり流れているようだった
知らない恋人と僕は歩き続けていた
街の 住み慣れた世界の郊外にある 沼のほとり
その汚れた沼には誰も来ないようだった 
だけど 僕らも 同じようなものだった


職安に行くことが
同じであればいいのだがと 必死で 勉強している
何も仕事は決まらないけれど
税金は払えず 貯金は目減りしていく 何年も滞納していた
サッカー選手にはなれなかったのはなぜだったのだろう 
遠いあの日は バンドのボーカルを目指していた
わからないけれど失業させられた
詩は ただ ぼやきのためだけにあるのだと思う


黄緑色の 自転車で
女と出かけた日の瞬間の言葉が思い出される  
鮮明だ より 風景の方が
彼女から それっきり 連絡はないけれど
遠い異国で今は暮らしているという
インターネットの中で
不要な情報をかき集めてはさまよう日々 



自由詩 裏原の中で買った財布 Copyright 番田  2012-11-23 01:44:53
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