昼も夜も 星空の下
まどろむ海月




  ?「ファンタジー」

昔の人にとって
地球が丸いのも
重い雨空の上が快晴なのも
青空の上が永遠の星空なのも
ファンタジーであったはず

生まれながら目の見えない人にとって 色彩の世界も
酸の濃度にしか反応しない微生物にとって 光の世界も 音の世界も
ミツバチにとっての紫外線の世界も 人間には
ヘビにとっての赤外線の世界も 人間には
ファンタジー

全電磁波領域のごくわずかな部分を
色光としてしか感知できない人間には
星空が奏でる 大宇宙交響楽の大部分が 認識できない

大地が平板なのも 天動説も
身分制社会も 五感がもたらす世界も
暗い雨天や絶望が永遠に続くと考えるのも
お金や国境や宗教や戦争や…
それらがゆるぎない現実と
思い込んでしまうのも
ファンタジー

それらは実はファンタジー
それらはみんなファンタジー



大切なのは
呪縛されてしまわないこと
一つのファンタジーだけに

「現実」という 人間の思い込み
にすぎないファンタジーに



大切なのは
選択していくこと

自分が望む
明日に向かって



大切なのは
自分を知ること

そのファンタジーが
ほんとうの願いか




 ああどうか
 すべてのものの幸いにつながる
 願いでありますように










  ?反歌「生きている」

私の五感は
雨空の上の快晴を
青空の上の星空を
地球の丸いのを
知らない

今この手のひらの上の
無数の細菌を
分子や原子の数
その位置や動きの無限を
感知しない

明日も昨日もない
今だけが在る

歓びも痛みも
この五感で
感じるすべてが
生きている
私の現実

私の愛する
濃密な現実











自由詩 昼も夜も 星空の下 Copyright まどろむ海月 2012-11-17 12:08:57
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