羽化する理由
藤鈴呼

羽化する理由を知っているなら 
窓を開いた

心を閉ざしたままで 
呟く理由

聞こえぬことを 
知っているから

少しだけ 
唇を開けば

新しい空気が 
入り込んで来る

その瞬間に 
スースー と 音がして

愚かな者たちは 
寝息と 勘違いをするから

僕は 心の中で 
笑った

ずっと 
そんな風な 細い目をして 
笑ってた

唇を 歪めて 
時を 数えて 
人に 溺れて

何が 愉しくないかを 
分かった石は

人並みの 暖かさが 
したもんさ

曇り空を 避けて 
雪は 解けて 
春は 未だ来ぬ

ぶつけられた 
瞳が 痛い

あんなに細かい 
粒達の 来襲

番組ならば この辺で 
エンディングの時間だ

それでは 皆さま 
また 来週

何故 聞こえぬ 
何故 癒さぬ 
何故 嫌なのだ

液体よりも とろり加減が 
時に 汚らわしい

個体よりも いい加減さが 
僕に 気怠さを 与えていく

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自由詩 羽化する理由 Copyright 藤鈴呼 2012-11-14 21:10:54
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