新宿のどこか
番田 

今日も詩を書いていた
何が僕に詩を書かせるのかを考えながら 窓に沈む 夕日を
一人で眺めていた
新宿の平たい街角でビルに沈む夕暮れを眺めていた
人は思い思いの方向に進む だけど それらが交わるようなことは
決して無いようにも思えた


この街をさまよっていたのはいつだったろう
当時路地裏には 裏ビデオの店が多く建ち並んでいたけれど 今では
一体どこに消えてしまったのだろう
あの頃のそれらは 表通りにも新出していたっけ レコードショップでは
宇多田ヒカルが たぶん デビューしていた
できたばかりのバージンもイタリアンレストランに変わってしまった


世界堂で漫画や絵を描く道具を買っていた 筆が与える感触は もう
今の僕には何も思い出としてすら蘇らない
ホコ天などは もう やってはいないけれど
高いギターを試し弾きさせてもらった あの店は まだあるのだろうか
いずれにしても 誰ともバンドを組まずに終わってしまった 僕の格安のギター
そんな人生のネオンサインのようなものが
今でも夕日の沈む歌舞伎町の辺りから哀愁のようなものを伴って漂ってくる


自由詩 新宿のどこか Copyright 番田  2012-11-13 02:44:55
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